防虫剤には樟脳(しょうのう)、ナフタリン、パラジクロルベンゼンの3種類があり、前者ほど毒性が強く、また、一般家庭では後者ほど多く使われます。体重10kgの子どもの中毒量は、樟脳はすこしかじった程度、ナフタリンは半分、パラジクロルベンゼンは1個に相当します。いずれの防虫剤も嘔吐(おうと)、下痢などの消化器症状をひき起こすほか、樟脳はけいれん、ナフタリンは貧血などの血液の異常をひき起こします。中毒量以上摂取した場合には、まず水やジュースを飲ませます。その次に、ナフタリンとパラジクロルベンゼンでは吐かせてください。樟脳を誤飲した場合には、けいれんを誘発する可能性があるので吐かせてはいけません。防虫剤の場合は、すみやかに病院に行き、受診させてください。3種類の防虫剤を鑑別する方法として、比重の違いを利用した簡単な鑑別法があります。
防虫剤は活性炭への吸着が良好ですので、病院では活性炭の服用あるいは胃内投与がおこなわれます。