栄養素の基礎知識(2)
脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。いずれも一定量が必要ですが、偏って摂ると弊害が出てきますので、バランスよく摂ることが大切です。
肉やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸(常温で固体)は、コレステロールの材料となるため、摂り過ぎはコレステロールを増やしてしまいます。
不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)と多価不飽和脂肪酸(リノール酸、α―リノレン酸など)があります。いずれも体内に蓄積されにくく、コレステロールや中性脂肪が体内で過剰になるのを抑制します。
そのうちリノール酸などの「n―6系」は摂り過ぎると、悪玉コレステロール(LDL)だけでなく、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロール(HDL)も減らしてしまいます。
オリーブ油に70%も含まれるオレイン酸は「n―9系」で、善玉コレステロールは減らさずに、悪玉コレステロールだけを減少させる優れものです。
また「n―3系」の代表は魚などに含まれるDHA、EPAや、なたね油などに含まれるα―リノレン酸。これらはコレステロールを減らし、血栓を溶かし、かつできにくくするため、血液をサラサラにします。また血管そのものを丈夫にします。
肉の摂取が増えている現代の日本人は「n―3系」の油が不足しがちなので、積極的に摂りましょう。ただ「n―3系」の油は酸化しやすいので、加熱調理には不向き。ドレッシングなどに利用するのがおすすめです。魚はDHA、EPA効果を考えるなら刺身で食べるのがベストです。
摂り過ぎるとコレステロール抑制効果は半減
コレステロールを減らし血栓を溶かす。酸化しやすいのが欠点
1位
なたね油(キャノーラ油)
2位
調合サラダ油
3位
くるみ油
4位
調合油
5位
大豆油
1位
すじこ
2位
養殖はまち
3位
きんき
4位
真いわし
5位
身欠きにしん
1位
くろまぐろ脂身
2位
すじこ
3位
養殖真だい
4位
ぶり
5位
さば
1位
サフラワー油(紅花油)
2位
ひまわり油
3位
綿実油
4位
大豆油
5位
コーン油(とうもろこし油)
1位
オリーブ油
2位
なたね油(キャノーラ油)
3位
ヘーゼルナッツ(炒ったもの)
4位
調合サラダ油
5位
マカダミアナッツ
(5訂日本食品標準成分表より)
「動物性脂肪は血液をドロドロにして、生活習慣病をひき起こす。むしろ、同じ油脂類でも植物性の油を摂ったほうがよい」このようにいわれて、植物油が血液をサラサラにする効果が高いと礼賛された時代がありました。植物油に含まれるリノール酸が、血液中の余分なコレステロールを減らしてくれるからです。
しかし最近になって、このリノール酸信仰に疑問符がついてきました。リノール酸はたしかにLDL値(悪玉コレステロール値)を下げますが、同時にHDL値(善玉コレステロール値)も下げてしまうのです。
また、リノール酸は活性酸素によって酸化されやすく、過酸化脂質となって動脈硬化を促進。さらに、血小板を凝集させ、血液を固まりやすくしてしまいます。また強い炎症物質を生成するので、アトピーやぜんそくを起こしやすくするともいわれています。
リノール酸は体内で合成することができないため、食品から摂らなければいけない必須脂肪酸です。しかし、摂り過ぎにはくれぐれも注意してください。そしてほかの油とバランスよく摂ることを心がけましょう。
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