健康な体を保つために、血液はこんなに働いている
人一人の体の細胞の数は60兆個にのぼります。この膨大な細胞を日々活性化し、バランスを整え、外敵と戦うなど、血液は体を維持し守るために休むことなく働き続けています。
心臓から送り出された血液は、すみずみの細胞にまで酸素を届け、代わりに二酸化炭素を受けとり、再び心臓を経て肺に送り、肺はこれを体外に吐き出します。そして酸素を肺で受けとり、また心臓に戻り、全身に酸素を届けます。
食べ物は胃や十二指腸などで消化され、その栄養素は主に小腸で吸収されます。吸収された栄養素は肝臓で分解・合成され、利用しやすい形に変えられた後、必要に応じて血液によって全身に届けられます。届けられた栄養素がエネルギーに代わる際、体にとって不要な物質ができますが、それを回収し、不要物を処理する腎臓や肝臓へ届けるのも血液の役割です。
ホルモンは情報を伝達したり体のバランスやリズムを整えたりする物質で、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎髄質、副腎皮質、精巣、卵巣、松果体、消化管などで合成・分泌されます。このホルモンも血液によって特定の器官に運ばれます。
体温を一定に保つのも、血液の役割です。暑過ぎたり運動などで体温が上がりだしたら、血管は拡張して流れる血液の量を多くし、体の熱を外へ逃がします。逆に、寒過ぎて体温が下がりだしたら、血管は収縮して血流の量を少なくし、体の熱が逃げないようにします。
血液中の白血球は細菌を食べたり、抗体(免疫物質)をつくってウイルスと戦ったりして、体を外敵から守ります。この白血球をウイルスがとりついた細胞へ運んだり、抗体を体中へ運んだりするのも血液の役割です。
血管が破れると出血します。出血すると、まず血液の中の血小板が破れた部分に集まって止血します。血液中の液体成分である血漿にも血液を固め、出血を止める働きがあります。血小板と血漿の2つの働きによって、出血は最小限に抑えられるのです。
血液の量ってどれくらい?
体内を流れる血液の量は、一般的に体重の7〜8%といわれています。体重60kgの人だと、5000ml近い血液が流れていることになります。その約3分の1が出血で失われると、命に危険がおよぶといわれています。
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